韓国人作家キム・チョヨプのSF作品。
韓国語の作品、多分一番最初は
イ・ランのCDに付属していたエッセイだったように思う。
そこから小説、ノンフィクション読んだけど
外れがないなぁと思う。
外れないのは、まだ翻訳数が少ないから
厳選されているからなのかもしれないけれど
私の好きな空気感がどの本のページの中にもある。
曖昧な意図を行間に隠さないところ。
といって過剰ではなく。
ひんやりとした言葉の肌触りとか。
観念的ではない、切実なフェミニズムと孤独。
ノーベル賞はハン・ガンだったけれど
とても広い韓国文学の裾野があって
彼女が立つことができているのかなと思う。
このSF作品も良かった。
七篇からなる短編集なんだけど「スペクトラム」が好きだ。
映画「ET」を反転したような設定。
深宇宙の惑星で探査船が遭難して
ひとり取り残された地球人が惑星の生命体に助けられて過ごす話。
地球時間で40年の時を経て帰還した女性飛行士が
沈黙を守り抜く。
沈黙の理由は
ヨーロッパ人に発見された南北アメリカ大陸の人々が
どうなったか考えればわかるんだけどね。
なんというかその惑星の生命体の心身の造型と
主人公の感受性が温かい。
「やさしさ」に「善しさ」と漢字をあてているのだけど
ああ、そうだなと腑に落ちる。
*
ここ最近読んだSFは
どれも「記憶」について思わせる世界観を描いていた。
ある個人をその個人たらしめる記憶。
生命体の記憶。
長い時間をかけて堆積し歴史となる記憶。
みずからの歴史をぼかそうとした社会になにが起こったか?
そのような社会は完全に発狂してしまう。
「鏖戦」グレッグ・ベア

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