コモンズ・スコラ 第11巻
「アフリカの伝統音楽」
坂本図書から送られてくるニュースレターが毎回読みごたえがあって面白い。
9月に届いたニュースレターは、コモンズ・スコラの刊行に関わった編集者のかたのインタビューで、坂本さんが目指した「音楽百科」のコンセプトを誠実に作り上げようとする編集者の情熱が伝わってきてとても良かった。
CDに収録する音源の著作権をクリアする苦労話は、坂本さんの他の本で読んではいたけれど「アフリカの伝統音楽」に収録されたボツワナ、サン族の「ボンゴ独奏」の音源の収録許諾を得るまでの話は読んでいてわくわくした。
民族音楽学者の塚田健一先生がどこかで買われたカセットテープなんですけど、これがいいんだ、と。ボツワナのサンと呼ばれる人たちが演奏する親指ピアノの録音で、すごく美しくて現代的な、不思議な曲です。坂本さんも気に入って、「ぜひCDの最後に入れましょう」と言うんですけど、ひとつ致命的な問題があって、連絡先がわからないんです。手がかりはカセットのスリーブに書かれた「John Brearley」という名前だけ。scholaの許諾交渉を担当していたのはavexの超優秀な女性だったんですけど、そんな彼女ですら諦めムードで、「これはボツワナ大使館に掛け合うしかないかもですね……」と。 ニュースレター 門松宏明
そこを諦めきれない編集者の頭の中や胸のうちが想像できるし、よくぞ諦めずにMr.J.Bを捕まえてくれました!と思う。
こんな話読んじゃったら、そりゃ、その音源、聴きたくなるでしょう。
というわけで、コモンズ・スコラ第11巻「アフリカの伝統音楽」を購入。
コモンズ・スコラはバッハから始まってドビュッシーや映画音楽やら、もっと外れなさそうな私でも取っつきやすそうな巻が多いのに、よりによって「アフリカの伝統音楽」って、ワタクシ的にリスク高いんだけど、「ボンゴ独奏」がどうしても聞きたくてね。
で、届いてCDを頭から聴いてみたら、なんでしょ、26曲、とても気持よく聴けて。
もちろん親指ピアノの曲も美しくて、聴けて良かった。
scholaが企てるのは、ほどよい一般性を持った文化の教科書を作り出すことではなく、圧倒的に突出した音楽を拾いつつ、そこから普遍性を持ったスタンダード(標準)を作り出そうという、きわめて野心的なプロジェクトなのです。 「スコラのために」坂本龍一
―――圧倒的に突出した音楽。
そうか、だから私の耳にも心地よく届いたんだね。
フィールドワークで集めたような民族の音とか、坂本さんの選曲がなければ私程度のリスナーでは迂闊には聴けないもの。
ありがたいよなぁ、と思う。おかげでジャンクな音に耳が疲れてしまう前に最良の音楽を享受することができる。
コモンズ・スコラは本の装丁もとても好みで。美しい。
ブックレットも120頁とはいえ内容濃くて面白いし、巻末の年表がまた素晴らしい。世界史と音楽史とアフリカ音楽関連史が並列で記述されているんだけど、すごいボリュームで驚いた、、けど、アフリカの地は人類の起源でもあるからなぁ。年表って、面白いわ。
コートジボワールの「葬儀の詠唱」というのを聴いてて、なんか日本っぽいなぁと思ったのだけど、ブックレットのほうで坂本さんが「青森のねぶたのようだ」と言っていて。エチオピアの音楽も日本的なメロディがあると書かれていて、そういえばジム・ジャームッシュの「ブロークンフラワーズ」に使われていたエチオピア音楽が「歌謡曲みたい」と思って聞いた記憶がよみがえりダイアリーノートを漁る・・・。
遠いアフリカ大陸と極東の島で似た音楽が生まれる不思議を思う。
で、流れで、積読本のチャトウイン「ソングライン」を思い出し。
んんん~、こういう刺激的な本や音楽って良いよなぁと思う。
6畳間に居ながらにして、地球をぐるっとまわり記憶をさくっと掘り起こす。
コモンズ・スコラ、他の巻も欲しくなっちゃうな。
まったく安くなってないから、なかなか手が出ないけど。










