2023年8月6日日曜日

ガラクタを積み上げる










朝、ベランダの鉢植えに水遣りをして洗濯物を干していたら、道の向こうのアパートにトラックが横づけされて作業着姿の男の人たちが4人降りてきた。
近所に住むアパートのオーナーが来て、2階の一番手前の部屋のドアを開けて作業が始まった。

部屋から段ボールを次々と運び出し、階段脇に寄せて停めたトラックの荷台に階段の途中から放り投げてゆく。
引っ越しではない。2トントラックの荷台はオープンで荷の嵩上げ出来るように両側にコンパネが張ってある。廃棄物の荷だし。

段ボールの蓋は開いていて、投げ落とされたはずみに中身が荷台に散乱する。ざっと中を見て分別はしているらしい。途中から軽トラックがもう1台来てスチール製の棚のようなスクラップで売れそうなものは別に積んでいた。たいした量はなかったけど。

落ちた衝撃で散らばるCDやDVDが立てる騒雑音。ゴミ袋に突っ込まれた服や靴、放り投げやすいように袋に入れてるだけなんだろう。中身が入ったままの衣装ケース。ゴルフバッグや洗濯機、座椅子、どかんどかんと音を立てて荷台に積みあがっていく。



     *



洗濯物を干し終えるまでの間、眼の端に見ていたモノに軽く沈む。


エアコンの効いた自室に戻って本棚や机の上に並んだモノを見る。
わたし、という、ひとりのひとの、好きなモノで埋まった部屋。
何年もかけてここに集まって、わたしに愛でられてきたモノ。

(この部屋の住人は、種と 葉っぱと ガラス瓶、そしてチバが好きらしい)

頭を回して部屋をぐるりと見まわす。
服もバッグも、寝具も家具も、ブランド品なんてひとつもない。部屋の主が愛着を加味して査定してさえお金に換えられそうなものなんてないんだから、他人が見たら廃棄物以外の何モノでもない。

部屋の外では、誰かの日々のお気に入りだったモノたちの放り出される音が続いている。



     *



6月の終わりだったか。
夕方帰宅するとパトカーとワゴン車が停まっていた。アパートの2階から制服の上に半透明のPPEを着た警察官が3人降りてきた。ブルーシートに包まれたものを下ろしてワゴンに乗せていた。なんでわかっちゃうんだろうね、見た瞬間わかっちゃう。まあ、わかるか。。
規制線は張られてなかったし事件性はないようだったけど。タイミングよく目撃したくなかったな。

そのアパートは単身者用ワンルームで、複数棟あって住んでる人のことはなにも知らない。
そこの住人だった人が部屋で亡くなったらしいことはわかったけど、詳細は知らない。知りたいとも思わないし。ただ、道に面した窓のカーテンがなにかに引っかかって捻じれたままなのが見えて、それが直されないまま日々が過ぎるのが、突然無人になってしまった部屋のリアルのようで気になってた。

オーナーはちゃんとした人で、管理会社も大手が入っているのでそのうち片付くんだろうとは思ってた。


     *



午後になっても、荷物の落下音は続いている。
部屋の片づけをしてるひとたちは、産廃業者とアルバイト、なのかな。
36℃を超す酷暑のなかで疲れてくるんだろう、どんどん雑になりフザケ半分の掛け声も聴こえてくる。彼らになにか問題があるわけじゃない。主を無くしたモノの行き着く先はお台場の向こうの処分場、いまは夢の島とは言わないのかな。どんな運び出しかたをしようと東京湾に沈む結末は同じだし。

それにしても。
20平米ほどのワンルームに、ずいぶんたくさんモノがあるもんだな。
ひとひとり、何十年か生きてみても、最後に積みあがるのは廃棄物なのかと思うと無常感が湧いてくる。



もし私が明日死んだら、この部屋のモノたちも、こんな音を立てることになるのかもしれない。それでも、目の前にある取るに足らないつまらぬ、わたしの断片を愛でずにはいられない。ガラクタのモザイクでわたしは出来上がっているのだから。




2023年8月3日木曜日

くだらないこと

 







くだらない:語源

江戸時代に、灘など 上方 かみがた で醸造された酒のうち、良い物は大消費地であった江戸へ 下 くだ るが、悪い物は主に当地で消費され「下らない」ことから、つまらない、できの悪い物を指し「くだらない」といった。




お風呂を沸かして入る、という日常のなぁーんでもないことから躓くやりとりひとつとっても、3人いれば三者三様、それぞれ違う感情に囚われている。やだやだ。もう、ほんとにくだらない、どーでもいいよ、、と思う。
やだもう、くだらないくだらない、くだらな過ぎるとぐるぐるするうち、ふと「くだらない」ってなんだ?と思う。

へぇ~そういうことだったのか。

灘の酒なら、くだらないとしても、庶民の膳にあがって、呑んで酔わせて喜ばれるからいいよね。

日々のことのくだらなって、くだらなさって、、んんん~ほんとつまんないことばかり。
ん?「つまらない」ってなに?なにが詰まるの?詰まらないの?

んん~~もういいや。。


2023年7月30日日曜日

太陽が。

 




植物だけが
太陽のエネルギーを直接とりこむことができる。


阿蘇の山をひとつ
醜いパネルで埋め尽くしてやっと
ソーラーエネルギーを
幾ばくかの電気に変えるのが精いっぱいの
人類なのに。

2023年7月29日、午後2時。
肌に受けたら痛みを感じるくらいの
実際、水脹れになりそうな
天から降りそそぐ火を
そのまま成長エネルギーにできる
植物って…。






7月の地球の平均気温が
12万年ぶりの高温を記録したと。

12万年?


10年ぶりの早い梅雨明けとか
30年に一度の降水量とかなら

まあ、なんとなくひとの時間スケールで
理解できるけど
12万年って。

気候の変化が
ひとのスケールを越えて
地球スケールの変動になってしまったって事?

地球の時間からしたら12万年なんて一瞬?
人類誕生から20万年だから
12万年前の酷暑は体験済みで
人類は生き抜いたんだって
良いほうに考えようかと思うけど
なんか全然そうは思えない。


シベリアの永久凍土の
4万年前の層から掘り出した
新種の線虫が
生きていて増殖もしている、とか。
地球の気温が上がって
溶けだした凍土から
いったいどんなものが解き放たれるのか。


北極の氷が溶けだし
海水温があがると
北極海から大西洋、太平洋の
海流の流れが滞り
海洋システムが変わってしまう、とか。

地球温暖化のはなし
前世紀の後半くらいから言われてたよね。
なんとなく遠い先のSFみたいに
聞いてた気がするけど
ひとが生きていけるような環境の
悪化が加速してるように見える。

いまは、エアコンをフル回転して
どうにか息潜めて過ごしてるけど
こんなちっぽけな科学で
あと何年凌げるんだろう。

生身のひとが対応できるスケールを
越えてしまってるよね。


そして
ほんとにがっかりなのはさ。
「プロジェクト・メアリー」で地球存亡の危機に
地球人として叡智を結集したような
国境超えたプロジェクトは
ぜーったい実現しないだろうことね。
ま、それを期待するほど純情じゃないけど。

戦争してるし、原発壊れっぱなしだし。

智慧もなにもありゃしない。
パンデミックにマスク
燃えさかる太陽にスダレ。

人類が手にした科学の果実がそれか。



今夜はソーメンにしよう。





2023年7月28日金曜日

復活サルスベリ

 




昨秋に無残に伐られてしまった
サルスベリが
花を咲かせた。




骨。
根元から伐採されたわけではなかったけど
空き家になった家と一緒に
消えてしまうんだろうなぁと
思ってた。





4月。
ひこばえ。
根は生きているからね。







5月。
芽吹いてきた。
うん、生きてるんだもんね。
健気だけど、寂しい気がしてた。




けど。
そんな私の感傷など吹き飛ばすように
たくさん花を咲かせてた。

芽吹くまではあるだろうなって
思ってたけど
あんなに伐られても
ここまで復活するのか。

土の下に
どれほどの根が張り巡らされているんだろう。



昨夏までの
咲き誇る枝ぶりからすると
3分の1
くらいの花冠だけど
ほんとに
私は
樹を尊敬する。







2023年7月19日水曜日

7月酷暑





ベランダで元気なのはやっぱりタマリンド。


それでもさすがに今夏は
太陽の高い時間には
陽射しで焼かれるのを避けるように
葉を半分閉じてうとうとしている。
タマリンド・シェスタ。




7月に、この気温はやっぱり異常だと思う。
24時間エアコン入れっぱなしが
もう4日目か。
去年までは夜にはエアコンを切って
窓を開けて
扇風機とアイスノンで過ごせた。
多少汗ばんでも、エアコン疲れと天秤にかけると
迷わずエアコンOffにした。

今年はエアコン切れない。
弱めに設定しても肌がぴりぴりするので
ダウンの合掛けを被って寝る。
ホテルライクだけど、嬉しくはない。



夜にエアコンつけっぱなしになったのは
もうひとつ。
窓を開けて寝るのが不安に感じるから。
どうみても昼間の留守宅確認に来たんだよね?
という体の「近くで工事が云々」の
お兄ちゃんが春以降2回来てるし。
他にも、平和なご町内ではなくなった感のする
出来事がぽつりぽつり。

歴史書の記述でしか見たことなかった
人心が荒廃し…
としか言えない空気をうっすら感じる。


気候変動のカタストロフィと
貧相な日本国の崩壊と
ダブルで着実の進行してるって思う。
コワイ。




「空をゆく巨人」

 







蔡國強の名前を知ったのは、2015年に横浜美術館で開かれた個展「帰去来」の時。
展示は見ていない。
開催されていることを知ったのが会期終了の前日で、その日は出勤していて翌日も予定を入れていた。早退して横浜行こうかと思ったのに行かなかった。この頃は、行動力に溢れていて、思い立ってすっと行動できていて、それがとても心地良かったのだけど、行かなかった。
そしてそれをずっと後悔している。
「壁撞き」と「夜桜」を観たかった。



     *



6月の終わりにTwitterのタイムラインに流れてきた写真に驚いた。
なにごと!?と思った。事故? にしては……美しい惨事?







6月26日、福島県いわき市の海岸で打ち上げられた蔡國強の爆発プロジェクトだった。

白天花火 <満天の桜が咲く日>



     *



思い出して「空をゆく巨人」を読む。

空をゆく巨人の歩幅は大きすぎて、とてもとてもとても追いつかない。





2023年7月15日土曜日

Star Carpet Ride

 





イントロを聴いてると
こんなに愛らしいメロディが流れてくるって
思いもしないけど。
美しくて
切なくて愛おしいメロディ。


シャウトはしない。
優しいモノローグのような歌声。


歌われているのは
彼がずっと焦がれ
想いつづけている星の世界。

くりかえし、くりかえし
聴く。











手に取ってみたいと思う
すくいあげるよ星の川
続く先にあるのは
夜の向こう側かな
そこには水があふれていた

静かに遠くなるのは
回る観覧車模様
たてにななめにゆれて
渦巻いてふくらんでゆく
そこには風が吹いていた

ドレミの音はもう聞こえない
言葉にもう用はない

スター・カーペット・ライド

気付かないでいるだけさ
宇宙は黒くなんかなくて
純粋に透明な
だけなんだってこと

あの星に原色の
花咲く季節が来て
君の肩には雪が
降り始めているだろう
すべり出すよ波打って



「Star Carpet Ride」