2023年2月26日日曜日

チャーハンと肉団子

 





ときどき、もうこれは発作だよなって思うんだけど
「チャーハンと肉団子が食べたいっ!」となることがある。

吉祥寺に住んでた頃には発作に襲われたら有無を言わさず街へ出て食べに行けた。
美味しいチャーハンと美味しい肉団子が両方食べられるお店が二軒あった。
しっとり系チャーハンと酸味強めの餡のかかった肉団子を出すお店と、ぱらっと系チャーハンに歯ごたえを感じるくらいにしっかり揚げた肉団子のお店と。


中華の肉団子って、美味しいよねぇ。
生まれて初めて食べた肉団子も覚えてるんだ。

父のお店があった商店街の並びの中華屋だった。父に連れられて行って肉団子が出てきた。
肉団子だけってことはないだろうから、ほかにもテーブルに並んだんだろうけど、記憶にあるのは肉団子だけ。二段に盛られた艶やかに光る黒い肉団子。甘じょっぱい餡の美味しさとかたぶんそこで初めて認識したと思う。固めに揚げたミンチ団子の食感とか肉感とか。上に乗ってるネギは白髪ネギというんだって言うのを知ったのはきっともっと後だと思うけど。
でも、私の肉団子はこれに極まるな。
グリーンピースとかが餡に絡んでちゃダメ。白髪ネギ。団子の色は黒。黒くなるまで揚げて欲しい。外側は固く、中は柔らかく。

ああ、食べたい。

こういう肉団子食べられる中華屋ってありそうでないんだよね、いま。
出前もやってくれるような町中華のお店だとメニューに見かけないし、高級中華の炒飯と肉団子は食べたいものとちょっと違うし。
吉祥寺にあったお店は、黒服着たマネージャーがいるけど庶民的な中華飯店。
サンロードと元町通りの角にあったお店の名前は思い出せないけど「○○茶館」とかだったかなぁ。井之頭通りに面したお店は「五十番」だった。覚えてる。

ブログもあったわー。
最強のスーラータン麺(笑) 
なにしろチャーハンと肉団子しか食べなかったのでスーラータン麵は知らないけど、誰かの舌の思い出に残ってるのね。2005年くらいに閉店してるのか。そっか、もう20年は前の話か。茶館の方はもっと前に閉店してるからなぁ。

そうだ、茶館のほうは小燕というちいさなお店を駅ビルに出していて、そこで中国粥と餃子のセットを食べたなぁ。ここの餃子は美味しくて、生餃子も売っていたので仕事帰りに買って帰って家で焼いたりしてたっけ。小燕ももうない。

チャーハンも肉団子も餃子も粥も美味しいよねぇ。
やっぱり中華料理って美味しい。

ああ、チャーハンと肉団子食べたーい!

今日は食べたい発作に襲われて。で、写真のチャーハンなんだけど、写真のチャーハンの話になかなか辿り着かない(笑)





2023年2月24日金曜日

「トゥバの喉歌」

 



中央アジア、トゥバ共和国(ロシア連邦)の伝統的な喉歌「ホーメイ」の歌手であり指導者でもある女性の半生記。ホーメイは、「歌うと不妊になる」と言われ、男しか歌うことを許されていなかった。女性のホーメイ歌手の第一人者チョドラーは、男性への指導もこなす実力者。伝統を重んじる者たちの圧力にも負けず、教室を開いているがなかなか生徒は増えない。彼女に憧れて門を叩いた女性たちは、周囲の偏見にさらされて心が揺れ動く。雄大な自然とともに生きるトゥバ族の暮らしの中に、宗教観や死生観も垣間見える。民族の誇りである音楽を通して、伝統や慣習の価値を問うと同時に、性差や教育、家族像までも描いた力作だ。







世界は広いな。ロシア語を話し、マニ車を回すひとびと。

女性に喉歌を歌うことを禁じる、土俵に上がることを禁じる。
男どものなんと臆病なこと。なにを畏れているのかねぇ。
神聖の名のもとに。神聖ってなんだろう。



喉歌。ホーメイ、ホーミー。
草原を渡る風が太い弦を鳴らしてゆくような音色。
声、という楽器の自在さ。



それにしても世界は広い。
やっぱり地球儀が欲しいな。



  *

アジアの二弦の楽器の検索をしていたら知り合いのフィドル・コレクターがヒットした。
おひさしぶりです。お元気そうでなにより。



2023年2月20日月曜日

「PLAN 75」

 



  りんごの木の下で 明日また逢いましょう 
  たそがれ赤い夕日 西に沈む頃
  楽しく頬よせて 恋を囁きましょう
  真紅に燃ゆる想い りんごの実のように



映画の中で、カラオケで歌う倍賞千恵子さんを観て思い出す。

親戚のよこちゃんに頼まれて、倍賞千恵子のCDをカセットテープにダビングして送ったことを。「下町の太陽」とか「さよならはダンスの後に」とか、耳にしたことはあったはずだけど、こんなに本格的な歌手だとは思ってなくて。昭和歌謡や唱歌、フォークソングまで清潔な優しい声で歌うのをあらためて聴いたのだった。
借りてきたCDに「あなたが歌えば抒情があふれだす」みたいなキャッチコピーがあったけど、ほんとうにみんなが愛した昭和の柔らかさが声になったようだった。


倍賞千恵子さん。81歳。
女優さんとしてはやっぱり寅さんの妹のイメージが強くて、というより、それしかなくて。

プロフィールを見るとたくさんの映画にほぼほぼ主役で出ているのだけど、山田洋二の監督作品が多くてやっぱりさくらのイメージから大きく抜け出すことはなかったのかな。


だけど一昨年のコンサートの様子見ると、79歳でこんなに声がでてるの素晴らしいし、歳を召して格好よいひとだなぁと思う。ビンボ臭い日本映画界じゃ無理だけど、シャーロット・ランプリングみたいな大女優になれたひとのように見える。あ、いまも大女優なんだけどね。



             60周年記念コンサート 2021年



     *


「PLAN 75」

何年か前に友人3人で話していて。
3人同世代で、子供いないし、どうやって死んだらいいんんだろうねぇとなって、「選択死」があっても良いよねという結論になった。
尊厳死って大仰だし、安楽死って貧困な感じだし、自分の意志で「選択死」がいいよね、って。

まあね、つまりみんな同じようなことを考えてるわけで。
この映画も、この国で生きて老いていくことの不安が根底にあるんだよね。
いまでも、年老いて動けなくなってただベッドで生かされるだけにはなりたくないと思うけれど、いまの日本の政府がやる選択死なら、なんとも受け入れがたいよなぁ。

AmazonPrimeで観始めて、前半の身寄りのない年寄りのありがちなリアルになんだか気持が塞いでしまって途中で止めた。PLAN75を選択せざる得ない老人たちの描写が続くのは観てて辛くて。でも、こういう内容では真ん中あたりで止めるって一番のBadTimingだよねぇと思い直し小一時間のインターバルの後、続きを再生する。

主人公がPLAN75に踏み出すと、まあ、まあ、、う~ん、「話が動き出した」という意味で観られるようになったというか、なんというか。。。

しかし希望がない。映画に?現実に?どちらにも。
主人公のミチが、PLAN75の途中で抜け出してしまっても、それは救いじゃないもんね。
♪またあした会いましょう、、、いちにち生き延びただけ。

映画は良いよなぁと思うのは、そこでエンドマークだしてしまえば観客へ丸投げ?で余韻を醸したテイになるのかもしれないけど、現実のミチはあのあとどうすんの?ホームレスの老女がひとり誕生しただけじゃん。

それがリアルなんだな、日本の現実なんだなというふうに落ち着くところが、ああもうこの国厭だってなる。



2023年2月13日月曜日

「イツァーク  天才バイオリニストの歩み」








映画の冒頭、私はいつも集中できなくてなかなか物語に入ってゆけないんだけど。
ヴァイオリンの弦の音が飛んできてそのまますとんと作品のなかにワープした。
部類のMLBファンのイツアーク・パールマンが弾く「私を野球に連れてって」




 TwitterのTLに流れてくる Asian Documentaries がずっと気になってたのをとりあえずお試しで契約してみて観た最初の作品。

音楽は良いね。ほんとに。
特にクラシックな楽器の音が全編に流れていれば、もうそれだけで豊かな時間と思える。





  *

イスラエルの工房を訪ねてそこで見せられたヴァイオリン。
修理のため表板を外すと、そこにハーケンクロイツと「ハイル・ヒトラー 1936年」の文字が。WWⅡ以前に作られたもので所有者はドイツにいたユダヤ人。戦時中に楽器を知り合いのドイツ人に預けたのだろう、と。そのドイツ人が表板を開け落書きし、持ち主のユダヤ人は知らずに生涯それを弾き続けていたらしい。

…というエピソード。疲れる。



「馬ならし、タイガを駆ける」

 


たぶん一生、目にすることはないだろう
でも見てみたいと切望する景色。


モンゴル語に「馬宝」という言葉があります。古来より馬は国家の宝の一つとされていました。モンゴル人にとって馬は単なる動物ではなく宝物。人と馬との関係は、飼い主と家畜の関係で終わりません。一番大切な友でもあるのです。 モンゴルとロシアの国境近くで暮らす遊牧民のダルハト部族は何世紀もの間、草原から山岳地帯への季節的な移動を半野生の馬に頼っていました。特にオオカミから家畜を守るには、気性の荒い馬が重宝されました。しかし近年は、ロシアからトゥバ族の泥棒が侵入し、家畜の群れを盗んではロシアの食肉処理場で転売しています。遊牧民は人からも馬を守らなければならないのです。



半野生馬の馬ならしを生業にするシュフルトが、盗まれた馬の群れを取り戻しに行くのだけど、いやモンゴルの民スゴイとしか。。

魂の一部だとまで言う愛馬が盗まれて殺されているのを見つけて、そこから。

ちょっと前にアメリカの森林にひとりでログハウスを二年がかりで建てて暮らす男性の動画観て、こういうのが野田知佑が言うFull Lifeなのかと感心したんだけど、シュフルトの馬との旅を見てると、Offgridで山暮らしなんてのさへママゴトに思えてきてしまう。

馬の群れをコントロールするためにリーダーの牡馬(これがまた雄々しい)に鞍もつけずに乗って組み伏せるんだけど、チンギスハーンの末裔なんだなと惚れ惚れする。






2023年2月10日金曜日

よい夢、わるい夢







昨日見た、ほわほわとしあわせな夢を
何度も思い返してみるけれど
夢の中で感じていた想いは
どんどん薄まって消えてしまう。

しあわせな“記憶”なら
何度でも同じ密度で取り出して
ふふふだったり
しんみりチリチリだったり
ほぼ変わらぬ質量で胸に満ちて
追体験できるのに。

夢には実体験がないから仕方ないのか。





かと思えば。
今朝見た夢は。

東京の西の森の中を歩く。
先に大きな企業の研修施設のような場所があり
市民に公開されていて
広い芝地の座り心地の良いベンチで眺める森が好きで
そこを楽しみに進んで
そうだそこを左に曲がれば…と
振り向いた先に見たのは
荒れ果てた廃墟で
ああ、N○Cでこんなことになっちゃうんだと
ショックで

気を取り直して
そうだもう一つ先のお気に入りの場所に行こうと
歩くけれど
そこはもうブルドーザーが入って
ほぼほぼ更地になっていて。


晴れて明るいのに
見た瞬間音が消えて気温も下がったみたいで
そうだもうずっと人の気配がなかったって気づいて
不安で足が竦んで目が覚めた。


わるい夢で見た感覚は
時間が経っても
なんだかリアリティが濃くて
半日経つのに
思い出すたび嫌ぁな気持になる。
さっさと消えてくれていいのに。



まあね。
しあわせな夢は
あまりに荒唐無稽でありえないけれど

わるい夢は
ここ数年、感じ続けている嫌な予感そのものだからな。
すべての美しいものが
維持できなくなって
荒れ果ててゆく。


夢にまで見たくない。





 

2023年2月7日火曜日

太平洋岸の冬


 

浅い春の収穫。





冬が好き。

なんてすっきりきっぱり言えてしまうのは
東京に生まれ育ったからだよなぁ。


立春過ぎても
北海道はまだ最高気温氷点下の土地も多いし
日本海側はまだまだ降雪の日々だし。

陽射しが出た午後に庭に降りて
フキノトウを探せる立春のありがたさ。




以前、冬の日高地方へ行ったことあるけど
零下7度の夜に玄関を出て息をしたら鼻に激痛感じて
恐怖したことあった。

「今日は冷え込み緩いわ」と
従姉妹のよこちゃんが笑ってた。

日高は太平洋岸で
そんなに気温も下がらない(北海道にしては)し
雪もそんなに積もらない(北海道にしては)けど。
家を出て車に乗り込む数メートル
数十秒以上
外に出られなかったもんな。







蕗味噌。




太平洋岸の冬は過ごしやすい。

青空がひろがって
陽射しが降りそそぐ
太平洋岸だから。

屈託なく冬が好きと言える。

 

2023年2月4日土曜日

立春





ふきのとう、ひとつ。



寒波が来ると
ううう、寒い、、、とは思うけれど

早く春になれ、とは思わない。



ちいさくちいさく
春が準備されてゆくのを
ゆっくりゆっくり
みつけてゆくのが好きだ。









ひかりのはる。


明るいだけじゃない。
雲が切れて陽が差すと
硝子戸越しの四畳半が温室になる。

エネルギーをもらって光合成する。
眠くなる。








冬葱と豚ひき肉のクリームパスタ。

冬の葱の甘さよ。
冬葱は薬味ではなく料理の主役。
深谷ねぎが食べたくてパスタを茹でる。

冬葱が好き。





冬が好き。




2023年2月1日水曜日

15歳の選択







中学3年の息子のいる知り合いの話を聞いて驚いたこと。

高校受験の話題が出て、友達はどんな感じなの?って話になり
そろそろ進路の決まってる子もいて
そのうちの友達3人が自衛官になると聞いてびっくりしてしまった。
東京23区の西側の公立中学校での話。

もちろん中卒でいきなり自衛官になるのではなくて
高等工科学校という自衛官になるための専門学校のようなところへ
進学するということなのだけど。

大学の進学率が右肩上がりの時代に育ったから、高校は全入的なイメージだった。
高校進学しない子もいたとは思うけれど学年で何人いたのかな。
中学卒業時点で自衛官を目指すという生徒がいたのか記憶にない。
学年全員の進路を知ってたわけじゃないから
私が知らないだけかもしれないんだけど。

もちろん私の高校進学なんて大昔で、情況は全然違うんだろうけど
中卒後の進路が自衛官という、そういう方向に変わってるとは思わなかった。



高等工科学校というのを検索してみた。
そういう学校があるってこと自体初めて知ったので。

3年制の男子校で全寮制。
普通科の高校と同等の一般教育と自衛官に必要な工学技術教育
それと自衛官としての訓練、つまりブートキャンプ的な教育が行われる。
卒業時には高卒資格が与えられる。
学費は無料、寮生活の生活費無料。
在学中は特別職国家公務員という身分が与えられ
生徒手当が月に10万円(+年2回の特別手当)が支給される。

職業軍人になる道なわけだね。。


昭和38年に前身の「少年工科学校」が発足していて
近年は受験の倍率も下がり気味ってことだったらしいけれど
それでも6倍、7倍はある。

普通高校行って部活は帰宅部~帰り渋谷で遊んでこ?
みたいな学校生活は望めないので、ふつうに進学するより
ずっと厳しい進路、辛い3年間だと思うけど
自衛官志すみたいな意識持ってるイマドキの15歳がどれだけいるのかな。

ちょっと前から経済的徴兵制が進んでくるって話がでてたけど。
なんとなく、そういう事情での選択とかも多くなってるの?
なんて考えてしまった。

純粋に、15歳が希望したことならそれはそれで良いんだけど。
勉強嫌いで、学校タルくて、はやく仕事してお金稼ぎたいけど
高校くらい出ときなさいとか親にいわれて
とりあえず入れそうな高校受験するけど、あ~タリィ
とか言ってるほうが15歳っぽいとか思うのは私の時代錯誤か?かも。