2022年9月19日月曜日

「SOY CUBA」







この2分半のワンショットが凄いとTweetされてきて。



素晴らしい。
カメラの視点が女性の顔から運ばれてゆく亡骸にスイッチして、路上からビルの3階まで登り、葉巻工場の男たちの姿を映しとりながら窓から葬送を俯瞰するまで、亡骸をほぼ画面中央で捉えている。ひとの動きも演技もカメラの動きを避けるような不自然なモメントがひとつもない。

でFULL MOVIEがYoutubeにあったので観てみる。
日本語字幕ないんだけど、全然まったくなんの支障もなかった。

観てればわかる、という映画のお手本みたいな。

スペイン語なんだけどセリフの数は多くない。
なぜかロシア語の同時通訳的副音声がすこしタイミングズレて入ってくるんだけど、映画の世界観とぶつからない。
最初、ロシア人の監督がキューバの映画?と思ったけど、キューバ革命の頃の話とわかって、あ、そっか!と。セリフにエコーのように被ってくるロシア語が時代背景にぴったりって思うのは穿ち過ぎだと思うけど。

で、ほんとに観てればわかるの。
英語の字幕が入るので、西露英3ヵ国語の言語情報あるわけだけど、映像が圧倒的に強い。

そして長回しが多い。とくに前半。ほぼほぼワンシーン、Long One Shot!
音は多くないけれど、歌や生活の音も印象的で。
葬列のシーン、クラブのシーン、果物売りのシーン。
サトウキビを刈る鉈が刻むリズム、収穫を喜ぶリズムと絶望のリズムと。
母親が穀類を突く杵のリズム、音。



 *

1959年、キューバ革命。
1962年、キューバ危機。

1964年制作のこの作品はつまりはソ連のプロパガンダ映画なんだけど、60年近い歳月を芸術性だけが生き残った。

2パートに分かれている後半は、革命への動きを追うエピソードになっていくし、最後はカストロのゲリラ軍が勝利して革命成就し高らかにキューバ国家が歌われて終わるのがTheプロパガンダっぽいけど、もう今更これみて共産主義革命に身を投じようと思うひともいないだろうし。受け入れ先のソ連邦も存在しないしね。

冷戦の時代のプロパガンダを映画芸術として撮りあげた監督の矜持。






SOY CUBA パッケージのVersion。

マリア



ベティ










2 件のコメント:

  1. 観ました。
    本家本元のソ連はもうないし、チェもカストロもいないけれどこの映画の存在を知ることができて、まさに芸術は残ったと思います。
    それにしてもYoutubeにアップされていたなんて!
    感謝です!

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  2. キューバ革命からキューバ危機あたりの、激動の時代をちゃんと知らないで観たのですが、登場する人々の背景がわかってしまう映像の凄さ。驚きでした。

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