「坂本図書」へ行ってきた。
とても良かった。
予約をして、3時間の滞在が許されて。
蔵書の棚をさっと眺めているだけでも
時間は経ってしまうから
坂本さんの自著の棚から一冊抜き出す。
「音楽と生命」の続きを読もうかと思ったのだけど
背表紙の優しい色――和色なら勿忘草色、洋色だとヘブンリーブル―かな
その青に惹かれて「ピアノへの旅」を。
とても良かった。
言及されてる本を読みたくなった。
音楽を聴きたくなった。
メモした。
*
ピアノはボディを作るのに
大きな力を半年ほど掛け続けて撓めること
だから調律し続けなくてはならないこと
放っておいたピアノの音を「狂った」と言うけれども
木がスチールが元のカタチに戻ろうとしているだけなのだから
そのままで良いじゃないかと
所蔵するピアノの一台の調律をやめたこと
東日本大震災で津波に流されたピアノの音を美しいと思ったこと
ひとではなく自然が調律した音なのだと思ったこと
音階から解き放たれて自由に鳴る音を聴きたいと思うこと
いち音の響きが消えてゆくその時間を聴いていたいこと
坂本龍一が心惹かれた音に共感する。
*
古いビルの一室にある坂本図書はこじんまりとして
坂本龍一の演奏する曲が――「async」や「Opus」――
文字を追う視覚の働きを邪魔しない小さな音で空気に溶け込んでいて
とても集中して本を読んだ。
静寂に至る音楽と沈黙とともにある空間。
とても、とても良かった。
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