2023年10月27日金曜日

Golden Rain Tree

 



フクロミモクゲンジの袋実。
裏庭で拾ってきた。






黄色い雄花が散るGoldenRainを
今年は見逃してしまった。

花はShowTimeの告知をしてはくれないから
受粉終わった頃合いで
あたたかな秋風が吹く日をみつけるのは
なかなか難しい。






そろそろかな?と見に行って
花雨の終わりに間に合って
花のベンチで過ごした日から
もう一年以上経つのか。
そう気が付くと愕然とする。

草樹を追いかけていると
ヒトの1年なんてあっというまに過ぎ去る。






あと何回、金色の雨の日を
私は過ごすことができるだろう。

せいぜい20回か。
時季を逃す年も、出かけてゆけない年も
うっかりしてしまう年もあるだろうから
見たいと思っていても
片手で数えるほどかもしれない。






すこし、焦るわね。
真実、ヒトの命は短い。
ひととして生きるには十分長い気もするけど
樹木と生きるには短すぎる。
樹皮や根に共生する菌類より短いかも。

ひとが、樹々や花の移ろいを見て
儚い、なんていうのは
なにか認識に誤りがあるかもしれない。






実生のフクロミモクゲンジ。

種を手に入れると蒔かずにいられないのだけど
この寿命の長い樹々を
ひとの(私の)寿命に
無理やり付き合わせてるんだね。


キミが花を降らす日は来ないと思うけど
束の間、そこにいてください。




2023年10月16日月曜日

匂いの記憶




陽が傾くのが早くなった。
午後3時半の影。

 




懐かしい匂いを嗅いだ。

どんな、と説明すればいいだろう。
生きているひと、から発する匂い、だ。
生きて、病を得て、適切な医療を受けて街に戻ってきた、ひと、の匂い。



図書館で本を選んでいた。
その匂いに気づいたとき、8人掛けの閲覧席には私ともうおひとり、年配の男性がいるだけだったから、たぶんその方。

父の匂いでもある。
亡くなってもう12年経つのに覚えていたのが不思議だけれど、匂いってそういうものだね。


父は70歳になった年に、最初の癌を患った。
膀胱癌。手術をして膀胱を全摘出して人口膀胱を作った。
右下腹部にストーマと呼ぶ尿をためておくパウチを常に装着して暮らした。
皮膚をケアする塗り薬やパウダー、消毒剤、それから飲み薬。それぞれ微量だけれども、知っている人にはわかるオストメイトの気配になっていた。

その匂いを私はイヤだとは思ってなかったので、図書館でその匂いに気づいて、あ、お父さんって思った。


父は足掛け8年、ストーマを使った。
器用だったので3日ごとの取り替えやケアも難なく覚えてやってた。
入院中でも自分でやらないと按配が悪いと言って看護師さんの交換を断って自分でやっていた。

父がもっと老いて手先がきかなくなったら私ができるように覚えておかないとなと思ったこともあったけど、結局私が手を出すことはなかった。
ハイデガーゼという医療用のガーゼの購入をネットでやって届けるのと、ストーマの購入に補助が出るのだけれど、購入に独特の点数があってそのわかりにくい計算を一緒にやったくらいか。それとストーマを着けて楽に穿ける下着のパンツやスラックスを探したり、外出先で利用できるオストメイトトイレを設置している施設や駅を探したり。それくらい。


父が亡くなって3か月ほど経った頃。
あ、ちょうど今ぐらいの時季だったかな、ストーマを購入していた代理店のひとから電話があった。定期的に購入していたのが発注が止まったので、在庫は余分にありますか?という電話だった。販売店を替えることはないし必ず必要なものだから、ね。
ひとが亡くなれば、あちらこちらに連絡してそれを伝えて手続きしてもらうのは当たり前で、あれこれ事務的に片づけ終わってたんだけど、ストーマのことは念頭になかったので、不意を突かれて電話口で絶句してしまったっけ。

その電話の後で、ストーマがふた月分くらい、20セットほど使わず仕舞いになってることに気が付いて、こちらから電話してどうすればよいか尋ねて、引き取ってもらうことになった。
お父さんの一部だったストーマを箱に詰めながら、死んじゃったんだなぁとしみじみ、思った。

………というようなあれこれを、図書館の閲覧席で思い出してた。

お父さんと同じストーマの方かな、一応断っておくと、決してひどく匂ったわけではないのです。ほんとにストーマを知らなければ、病院の匂いくらいにしか思わないと思います。
私は知ってるから気が付いて懐かしい気持になって、そうだこの建物にはオストメイトトイレが2階にありますね、ご存知かな、なんて思ったりしたのでした。



2023年10月11日水曜日

栗蒸し羊羹

 



お茶の時間です。
栗蒸し羊羹が美味しい。


練り羊羹も美味しいんだけど
口当たりが重たい。

蒸し羊羹は柔らかくて甘みも少ないのが良い。
新栗の甘露煮もいい味。

煎茶を濃い目、熱めに淹れてもらって
秋を満喫。

お茶は淹れてもらいます。
家人がお茶淹れるの上手なので。
私は湯冷ましの時間が待てないんだなぁ。





栃木県、那須の扇屋の
竹蒸し栗羊羹。
竹の皮の香りもほんのり。
よく行くマーケットの
秋の味覚フェアコーナーにあった。
思いがけず美味しかった。

ごちそうさまでした。





2023年10月10日火曜日

さざ波のたった日




クヌギの実。
ドングリの季節。

 



今朝は夢見が最悪。
いま私が一番嫌悪するコト。階下のひとが、「またですか?」というようなことをやらかしてくれていて……という夢。夢で良かったけど。目が覚めても、ムカムカ気分が悪かった。
2年前の今頃、リアル「また?」っていうのがあって、なんかなぁ、いつまでも忘れないんだなぁと思ってウンザリして。ふぅ。

そんな寝覚めの悪い今日、なんなんでしょうか、いろいろこまごまと気持削られる事柄が訪れるという、、なに?今日は厄日? 10月10日は晴れの特異日?(関係ない


決済し忘れていたモノがあり電話連絡が来て慌てたり。いやもう、完全に失念していて。これは私が悪いんだけど。ああ、いろいろとヤバイなぁと落ち込む。すぐに解決したんだけど、スマホに着信あるってだけでストレスになる社会人レベル低すぎ。わかってるけど。ヤなのっ!
ご縁は切れたかなぁ、残念な気もするけどそれでいいのかもなぁ、と思う電話番号からSMSでメッセージがあり…。これは開いた方が良いのか、スルーすべきかちょっと悩み。まぁ、読まずにスルーも削除もブロックもできやしないんだけど。哀しい話ではなく、うん、まあ和解といえることになるのだろうか。たださざ波がたつ。
私の知り合いではないけれど何度か会ったこともある家人の若い知人の訃報が届いたり。
裏の柚子の樹が伐られることになり(事情は面倒なので割愛)、今朝早くに切り倒された。嗚呼。。納得していることとはいえ地味~に打ちのめされるとか。


どれも、今朝の夢(が夢でなかった場合)に比べればなんてことないんだけど。
あ、そうだ。おまけのようにラスへブ上映のリセール争奪戦にも敗れたしw



私はパーソナルテリトリーが広大なので、とキレイな言い方したりするけれども。
荒野の果てでひとり暮らしている頑固なジジイが、近づいてくる訪問者に、なんならショットガンかなんか持って出てきて「ワシの庭に近づくんじゃない!」と問答無用に不機嫌炸裂させるみたいな、下手すりゃ私はそういうタイプかもしれません。


なんとも心が忙しかった日。
また逃亡しなくちゃ。




秋のホテル

 



9月24日の窓。
夏の名残りのような雲。

暑さが去って
鉢植えの水遣りを
心配しなくても大丈夫そうだったので
ひさしぶりにプチ旅。

東京ですけど。





コロナ禍になって、ああ、飛行機も新幹線も乗るのリスクあるなぁ、当分、旅行はないなぁ…と最初は思ったけど。

都内のホテルなら移動のリスク少なくて済むんじゃ?
と、この3年半で結構あちこちホテル泊りに行った。

考えてみたら。
私の旅行って地方の居心地良さそうなホテル取って街をぶらぶらするのがメインだから

だったら東京で良いじゃない?ホテルなら都内にいくらでもあるし。
都内、特に東側って知らないとこいっぱいあるじゃない?

千代田区の神田○○町という界隈
台東区の御徒町、蔵前、浅草橋あたり
中央区日本橋は人形町、浜町

皇居の東側、隅田川の西側。半七親分の江戸下町、お堀からこっち大川縁まで。

道はアスファルトで木陰はないし、大通りに面しては小奇麗なビルばっかりだけど、ひょっと一本裏に入ると看板建築や木造の仕舞屋が奇跡的に残っていたり、個人商店が暖簾を出して商ってたりと、地方都市へ行って歩き回るのと同じくらい楽しめる。
東京都下育ちは、あんがい東京を知らない。


ホテルもいろいろだけど、オリンピックにあわせて建てられた新しいホテルが、五輪延期になり緊急事態宣言で打撃受けてすごく安い値段設定でプランだしてたりして、都内宿泊を目当にしてみたらとても安く使えて、ある意味コロナ・ラッキー?

5類になりコロナ終わったことにされて、インバウンドが戻ったせいでしばらく値段が3~4倍になってたけど、夏が終わったら落ち着いてきてて。
都内観光業の値段設定眺めてるだけで色々面白い。






ここはオールドファッションなホテル。
最近のホテルはエントランス階に
ラウンジやティールームのないタイプも多いけど
やっぱり高い天井の下、ソファに身体沈めて
珈琲を飲めるのは良い。

カードキーではなくて持ち重りのする
真鍮の、鍵とルームナンバーの刻印のあるホルダー。
部屋のロケーションは期待してなかったんだけど
中庭に面した部屋ですぐそこに緑があって。

部屋もバスルームもゆったりとしていた。

そうそう。
ベッドサイドにラジオがついているのが
いかにもオールドファッション。
でも、なんだかそれ、良かったな。
落ち着いた男声のおしゃべりとjazz。
更けてゆく夜。いい時間。



2023年10月9日月曜日

秋の14歳

 



秋晴れ散歩の金曜日。



飲み物を買おうとコンビニに入ったら
「手紙」が流れてた。

アンジェラ・アキじゃなくて
由紀さおりでもなくて

THE BLUE HEARTSね。


レジ待ちのときにあっと思って
そしたらちょうど間奏になってさ
リコーダーの音が鼻の奥に刺さってしまった。
それから3日ほど経つんだけど
気が付くと鼻から「手紙」が流れ出してる。

リコーダーの音色って14歳でしょ?
リコーダー、全然上手に吹けなかったし
学校で吹かされたのは小学生だったと思うけど。

「手紙」どっかの学校でリコーダー合奏とかやってそうだよね。

THE BLUE HEARTSの
というよりマーシーの曲なんだけど
「1000のバイオリン」や「青空」も
リコーダーに似合うよね。

お隣の子が日曜の夕方かなんかに
家で練習してるのが
洩れ聞こえてきたりしたら
おばちゃん、泣くわねぇ。



「手紙」ではないけど
前に吉祥寺を歩いていて
校門から出てきた女子中学の生徒たち3人ぐらいが
歌っている声をすれ違いざまに聞いてしまって
そのあまりのキレイさにほんとに嗚咽しそうになったことある。
歌っていたのはなんだったろう
たぶん、当時のはやり歌だったと思うけど。


なんなんだろう
この初老を撃ち抜く凶器のようなキレイさは。
リコーダーやら素の歌声やら
どうにも“14歳的なもの”に弱いんだよなぁ。

でもってマーシーの歌うこの14歳はなんなのって思う。
感情揺さぶられて、もうね笑っちゃうくらいです。
これは30年くらい前の音源で
これが「手紙」のベストとは思わないけど
マーシーの割れたり掠れたり
張り上げた声の音程が揺れるとこまでが愛おしい。
吊り橋効果?(←違うか?


でもそろそろ
流れ出る「手紙」を止めたい。



2023年10月6日金曜日

秋のベンチ




10月3日



夏が終わらないので
なかなか散歩に行けなかった。
行こうかなと思うと雨だったり
膝を痛めてしまったり。

膝、軽い捻挫かな?
足首くらいだったらテーピングして
なんとかなるんだけど
膝は拗らせるとやっかいなので
整骨院へ通った。

階段降りるのが怖かったり
庇って歩くと全身に軋みが出たりしたので
隠居を良いコトに安静にしていたら
すっかり足弱になってしまった。
傷めたところはケアしつつ
他の筋肉はちゃんと使って過ごさないとアカンわね。
でも家の近所とか歩いても楽しくなくてね。
というわけで久しぶりのお気に入りのベンチ。



秋だな。
サンドイッチ作って本持って
JBLスピーカーで音楽流しながらぼんやり。
(散歩ちゃうやんか?)







大きな大きな榎の樹の下にあるベンチ。

4脚のベンチがすっぽり木陰に入る堂々たる大樹。
移ろう木漏れ日に触れて
鳥の声を追って
寄ってくる蟻を追い払って
風を聴いて
匂いに揺蕩えば
いちにち過ごせる。
過ごしたい。


先週にはエアコン入れる日も
あったような気がするのに
今日は空も風も秋の真ん中のようで。

秋は短い。
なんだか焦る。




2023年10月4日水曜日

秋庭

 



秋茗荷

ミョウガが太ってきた。
つやつや。

野菜プランターから7つ収穫。
まだまだ土の中で成長中の花芽がいくつもあった。
うれしいな。

絹豆腐とミョウガの味噌汁にふたつ。
残りは糠床に埋めた。




今日はいち日雨降りだったけれど
午後に庭に出たら
雨と樹々と秋の、良い匂いがした。

雨を葉に受け止めて
重くしなだれていたセイヨウニンジンボクの枝を切った。
セイヨウニンジンボクは菊の花に似た匂いが濃いの。
葉に触れるだけで良く香る。

切った枝を回収に出すのに
ちいさくカットする間も菊様の香りが立ち上がって
都度、深呼吸する。

花穂に種がたくさんついていたので
種を取ろうかな、と
すこし二階に持って上がる。





ベランダに出そうと思ったんだけど
部屋の中でとても強く香るので
今夜一晩、部屋に置こう。

しんとした秋の匂いがする。








ピラカンサの実が赤くなってきた。
今年はたくさん実がついた。
けど。たぶん、真っ赤に熟す前に
鳥に食べられてしまうだろうな。

色づき始めていたジュズサンゴも
すっかりなくなってしまったから。

見てる私は残念とすこし悔しいけど
植物の戦略としては
それで良いのよね。
でも、もうすこし熟してからのほうが
美味しいんじゃないかな、と思うんだけど。
鳥は食いしん坊だからね、仕方ない。





オオベニウツギの戻り花。
5月に咲く花は紅色が濃くて
ちょっとね暑苦しく感じてしまい
あまり構われてないんだけど(私に)
でも、綺麗な花木なんだよね。

秋雨に濡れそぼる薄紅色の花と枝
美しいです。

このオオベニウツギ
何年も前に蟻に巣食われて
太い幹がボロボロになってたんで
地際から伐ったんだけど
そこから新枝が伸びてきて
いつの間にか元の樹高と同じにまで復活して
毎年普通に花をつけている。

枝がびよんと伸びて塀の外に乱れるので
結構バサバサ切るんだけど
全然気にしてないみたい。

この花木やセイヨウニンジンボク
ユキヤナギ、コデマリなんかは
自然樹形では大株になって
伸びやかに枝をしならせるタイプだから
ほんとうは広い場所に植えてあげたい。
というか、狭い庭に植えるなよ、っていう木々なんだけど。

気になる花木を小さな鉢植えで買って
育ってみるとみんなこのタイプの花木なんです。
ツル性植物同様、奔放に伸びてゆく
剪定には向かない花木が好きなんです。