気が付けば花の盛りが過ぎている。
ヒメウツギの白い花が色褪せて散りそびれていたので摘む。
ベランダのふた鉢、たくさん咲いてくれたので花ガラもいっぱい。雨に打たれる前に。
枝先のちいさな花を摘むのは手間だけれど、落ち葉掃きと一緒で無心になる。指先のちいさな花ガラだけを見ているうちになにも考えなくなって、心の余白も広がってゆく。萎れた花びらでも摘まれる枝先から植物の匂いが立ち上ってくる。深く吸う。
5月の下旬になるとサツキの手入れをしていた父を思い出す。盆栽のサツキは花ガラを摘む作業がマストで、ヒメコブシの木の下に座って小さな皐月鋏を使ってちまちまと時間をかけて花ガラを摘んでいた。小さい鉢のようでも全部摘み終わるとこんもりとピンク色の山ができていた。
サツキの鉢はいくつもあったので「これは今やらないと来年咲かないから大変なんだよ」と言ってたけど、言うほど苦ではなさそうだった。私はその頃はもちろん「面倒くさそー」としか思ってなかったけど。
いまは花ガラを摘むひとの心持ちがすこしはわかるような気がする。
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