2025年2月10日月曜日

みのむし






庭に蓑虫をみつけた。


いつのまに。
庭であまり見た記憶がないのでしげしげと眺めてしまう。
蓑の材料は、モミジの葉や細枝の枯れたもの。
これ、地面でせっせと蓑を編んで
それを背負ってここまで登ってきたのかな。
陽当たりの良い場所で中は暖かいだろうな。



蓑の大きさ5㎝はあって
ぷらんとぶら下がっているのでオオミノガかな。
オスかなメスかな?







寺田寅彦に「蓑虫と蜘蛛」という随筆があったのを思い出した。
「柿の種」だったか随筆集だったかわからなくて検索してみたら
青空文庫に見つかった。

庭の楓に鈴成りの蓑虫。鈴なり?!



自分は冬じゅうこの死んでいるか生きているかもわからない虫の
外殻の鈴成りになっているのをながめて暮らして来た。
そして自分自身の生活が
なんだかこの虫のによく似ているような気のする時もあった。



蓑虫って、眺めてると
なんだか身につまされてしまうのかもしれない。
高名な物理学者も例外でなく。
そこから、一掃して観察して生物進化に思いを馳せるのは
科学者らしいけれど。






庭に蓑虫を見た時
一番に思い出したのは三浦哲郎の短編で。
読んだのは、たぶん30年位前だけど
なんだかずっと胸に残ってて。
話は忘れてないんだけど
短編って、言葉のひとつひとつ、間合いの一拍一拍が大事だから
もう一度読み返そうかなと思った。

文庫を持っているんだけど
ここに引っ越すときに段ボールに詰めて
そのまま押し入れに収まってて探すのがちょっと難儀で。
楽天の電子書籍のクーポンがあったので
それで購入して読んだ。

三浦哲郎は、死や滅びに向かうひとの
気配が色濃い小説を書く人で。
「みのむし」もそうで。

三浦哲郎の作品に惹かれる気持や
「みのむし」の感想はちょっと言葉にならないんだけど
でも「白夜を旅する人々」を読み返したいと思った。
ずいぶん前に再読してるんだけど、もう一度。

去年までだったら三浦哲郎を読み返そうと思わなかっただろう。
小説も、随筆も。
「みのむし」を読む気になれたこと、よかった。


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