庭に蓑虫をみつけた。
いつのまに。
庭であまり見た記憶がないのでしげしげと眺めてしまう。
蓑の材料は、モミジの葉や細枝の枯れたもの。
これ、地面でせっせと蓑を編んで
それを背負ってここまで登ってきたのかな。
陽当たりの良い場所で中は暖かいだろうな。
蓑の大きさ5㎝はあって
ぷらんとぶら下がっているのでオオミノガかな。
オスかなメスかな?
*
寺田寅彦に「蓑虫と蜘蛛」という随筆があったのを思い出した。
「柿の種」だったか随筆集だったかわからなくて検索してみたら
青空文庫に見つかった。
庭の楓に鈴成りの蓑虫。鈴なり?!
自分は冬じゅうこの死んでいるか生きているかもわからない虫の
外殻の鈴成りになっているのをながめて暮らして来た。
そして自分自身の生活が
なんだかこの虫のによく似ているような気のする時もあった。
蓑虫って、眺めてると
なんだか身につまされてしまうのかもしれない。
高名な物理学者も例外でなく。
そこから、一掃して観察して生物進化に思いを馳せるのは
科学者らしいけれど。
*
庭に蓑虫を見た時
一番に思い出したのは三浦哲郎の短編で。
読んだのは、たぶん30年位前だけど
なんだかずっと胸に残ってて。
話は忘れてないんだけど
短編って、言葉のひとつひとつ、間合いの一拍一拍が大事だから
もう一度読み返そうかなと思った。
文庫を持っているんだけど
ここに引っ越すときに段ボールに詰めて
そのまま押し入れに収まってて探すのがちょっと難儀で。
楽天の電子書籍のクーポンがあったので
それで購入して読んだ。
三浦哲郎は、死や滅びに向かうひとの
気配が色濃い小説を書く人で。
「みのむし」もそうで。
三浦哲郎の作品に惹かれる気持や
「みのむし」の感想はちょっと言葉にならないんだけど
でも「白夜を旅する人々」を読み返したいと思った。
ずいぶん前に再読してるんだけど、もう一度。
去年までだったら三浦哲郎を読み返そうと思わなかっただろう。
小説も、随筆も。
「みのむし」を読む気になれたこと、よかった。
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