表替えのために畳が持ち出された部屋は
すっからかんの空っぽ。
階下の部屋の
襖の張替えと畳替えをした。
先週、この部屋に残されていたモノを
すべて処分してもらって
それですっきりすると思ってたのだけれど。
タバコの煙で汚された襖は絶対替えるって
決めてた。
それですむかなぁ、と思ってたんだけど。
ベッドやホットカーペットや
あれやこれや
持ち出してもらって掃除もしてもらったんだけど。
畳が薄っすらと
誰かが座ってた気配に染まってて。
空っぽになった六畳間に入るたびにため息がでた。
まだ、ここにいるの、って。
そうだよ、ここにぺたんと座って
日がな一日、ぼぉんやりテレビ見てたっけな。
この部屋にベッドを入れてからだから
10年くらいか。
正直に言ってしまうと
キモチワルイし
あ~やだやだやだやだって
おぞましくなる。
でも
この浅く窪んで色の変わった畳は
ひとがひとり、棲んだってことなんだな。
二階の部屋の
いま、この瞬間に私が座っている
このお尻の下の畳も
きっとおんなじなんだろう。
そういうもんだよな。
…と、他人事というか
距離置いたかのように考えて嫌悪感を希釈する。
希釈しようとしてみる。
無理だ。
この家の畳の部屋はなにか敷かないと
寒すぎて居られないので
新しいカーペットを買うつもりではいたけど
なにかで覆ってしまっても
一度見てしまったこのウンザリを
気にしないでは過ごせそうもなく。
襖の張替えを頼んだ業者に
畳の表替えも追加でお願いした。
畳を運び出されて
床板がむきだしになって
床下から上がって来る冷たい空気に洗われて
ここまでしてやっと。
やっと。
やっと、終われるかな。
疲れた。
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