2024年12月26日木曜日

なんでそんなに美しいんだろ。





庭のモミジがほんとうに美しくて
見惚れてしまう。

毎年のことなんだけど
ここ数日の紅葉はいつになく鮮やかな気がする。


もうここには長くは居ないよって
思うようになったから
私の気持が美しく見させてるのか。
いや、でもほんとに綺麗なんだよ。
朝陽に午後の陽に照らされたモミジを
玄関の硝子越しに見るたび
キレイだなぁ、と思う。

なんでこんなに綺麗なの?
なんなの?
とまで思う。








今年はミカンも当たり年で。
我が家のミカン史上一番だねって思うほど美味しい。
果汁も甘みも申し分なく。

もうほんと、ミカンの実を取る作業もシンドイんだけど
たわわに実ってるのを放っても置けないし。
来年はシルバー人材センターにでも頼もうかなぁ
とか考えて
うん、まあ、もう一年二年は
なんとなく住んでるかもしれないしなぁとか思い。

モミジとミカンとに思い切り後ろ髪ひかれてしまう。

私がここを手放したら
モミジもミカンも伐られるしなぁ。
彼ら、わかってて引き留めに来てる?
…は馬鹿な妄想だけど。


いや、人生って、なんだろ。
生れてくる時はなぁ~んにも考えてなかったのに。
なんかメンドクサイもんだわね。



2024年12月21日土曜日

清々しい部屋





「 清々 」という漢字を
「すがすが」と「せいせい」と
自然に読み分けてるんだよね、我々は。




表を張り替えられて帰ってきた
畳がとても清々しい。





前に畳に手を入れたのは15年前。
ここに同居することになって
父が畳を替えてくれた。
その時は、地元の畳屋さんに頼んで
畳床から手を入れてもらったんだったと思う。

15年経ってるからもしかしたら
表替えだけでは済まないかもなぁと思ったけど
業者さんに来てもらって見てもらったら
畳床は良いもの使ってるから
まだ持ちますよ、とのことだった。
そういえば、お父さんはシブチンだったけど
こういうことはケチらなかったっけな。


対して娘のほうは
なるべく安く上げようとしています。


畳表のイ草にもランクがあって
見本を持ってきてくれたんだけど
最初から
もうここには長くは住まないので、と相談し
普及品でお願いした。
イ草にも国産と中国産とがあって
国産のほうが香りがいいですとのことだったので
国産の畳表を頼んだ。
1,000円しか違わなかったし。

正直、期待はしてなかった。
ともかくうっすらした気配を一掃したかったから
表、引っぺがしてくれればそれでいい
くらいに思ってたし。



業者さんが帰って
6枚の畳を乾拭きしてたら
あ、ちゃんとイ草の匂いするねぇ、と気づいた。

時間が経つほど
すんとした青く枯れたイ草の匂いが強く立った。
二階から廊下に出て階段を下りながら匂う。



彼女がいる間
6畳間だけではなく家全体が
老いた人のいる家特有の匂いがしていて
それも、気持を沈ませてた。
もちろん、私の掃除が行き届いてないってのもあったけど。
廊下や台所や玄関をいくら掃いても拭いても
なんかもうこの家無理かもって悲しくなってた。

階下の部屋の家財一切合切処分して
この半月ずっと窓開け放して空気洗って
畳、襖を替えて
やっと、やっと、やっと。




畳、替えてもらって良かった。
階段を下りながら
廊下歩きながら台所に立ちながら
イ草の匂いを聞いている。

清々と、清々しい。







襖も薄く地模様は入っているけど
無地に近いもの。
本来は廊下側に張るもの。
室内側は引手帯模様くらい張ろうかとも思ったけど
なにもなくていい、なにもないほうがいいと思った。

清々した。




2024年12月16日月曜日

空っぽ






表替えのために畳が持ち出された部屋は
すっからかんの空っぽ。









階下の部屋の
襖の張替えと畳替えをした。



先週、この部屋に残されていたモノを
すべて処分してもらって
それですっきりすると思ってたのだけれど。



タバコの煙で汚された襖は絶対替えるって
決めてた。
それですむかなぁ、と思ってたんだけど。
ベッドやホットカーペットや
あれやこれや
持ち出してもらって掃除もしてもらったんだけど。

畳が薄っすらと
誰かが座ってた気配に染まってて。
空っぽになった六畳間に入るたびにため息がでた。
まだ、ここにいるの、って。



そうだよ、ここにぺたんと座って
日がな一日、ぼぉんやりテレビ見てたっけな。
この部屋にベッドを入れてからだから
10年くらいか。

正直に言ってしまうと
キモチワルイし
あ~やだやだやだやだって
おぞましくなる。



でも
この浅く窪んで色の変わった畳は
ひとがひとり、棲んだってことなんだな。

二階の部屋の
いま、この瞬間に私が座っている
このお尻の下の畳も
きっとおんなじなんだろう。


そういうもんだよな。


…と、他人事というか
距離置いたかのように考えて嫌悪感を希釈する。
希釈しようとしてみる。

無理だ。





この家の畳の部屋はなにか敷かないと
寒すぎて居られないので
新しいカーペットを買うつもりではいたけど
なにかで覆ってしまっても
一度見てしまったこのウンザリを
気にしないでは過ごせそうもなく。

襖の張替えを頼んだ業者に
畳の表替えも追加でお願いした。




畳を運び出されて
床板がむきだしになって
床下から上がって来る冷たい空気に洗われて
ここまでしてやっと。

やっと。

やっと、終われるかな。
疲れた。





2024年12月7日土曜日

竹箒の時間




 


家の前に散ったコブシの葉を掃く。
そんな季節になっていた。

いま、お向かいは空き家になっているのでそれほど気にしなくてよいのだけど。
道を掃こうと思う余裕がやっと生まれたかな。
9月から10月、11月は怒涛のようで、水遣りも疎かになって鉢植えの秋海棠を枯らしてしまったりしてた。自分自身が枯れてしまいそうな日々だった。



今日は三度、竹箒を手に道に出た。
掃いてる間も、コブシは葉を落としてくるのだけど、いいの。
大好きな時間だから。







あまり注目されないけれど、コブシもなかなか綺麗に黄葉する。
もう一週間もすれば、すべて散って、落ち葉掃きの時間も終わる。


午後の低い陽射しに輝く樹を見上げながら思う。
わたしはあと何回、この枯葉を掃くんだろう、と。


数年のうちに、たぶん、この家を手放す。
たぶん。
そうしようと考えている。



2024年12月1日日曜日

頑張った。




いつかの空。

 


12月になってしまった。

ストレスフルな3ヵ月を過ごした。
ほんとに、ほとほと疲れた。


先週、階下の人を老人施設に送った。
「階下の人」は「施設の人」になった。

私が保証人になっているので、残念ながら完全に縁が切れたわけではないが、同居を解消できて心底ほっとしている。なんでこんなに長い間、同じ屋根の下で暮らしてしまったんだろう。育ててもらったわけでもない、父の後妻さんというだけのひとと。



ああ、清々した。


と、そう思ってみるけど、その言葉ほどには清々してなんかいない。
なんだか、とてもとても草臥れて脱力している。


3月からプレ介護?介護モドキが始まってから、施設に入所させるまでのこと、書いておきたいけど書くと追体験する感じになるしな。まあ、追々。