土方巽 「美貌の青空」 1987年
この文字の連なり。
この5文字だけで
推敲の余地のない完成された詩だし
大理石から掘り出された貴い人のような質量を感じる。
Bibo no Aozora.
美貌を び ぼ う と声に出したことなどあったかな。
圧倒的で人の世界ではほぼほぼ使い途がない。
青空に冠することでやっと発語できたね、と思う。
*
坂本龍一の作った曲の中で
Bibo no Aozoraがとても好きだ。
ヴァージョン違いをプレイリストに入れて聴いてたりする。
昨日の映画でもオーケストラヴァージョンが演奏されてた。
これは持ってないからそのうち手に入れよう。
でも、どんどんシンプルになって今は「Opus」のピアノが美しいと思う。
オリジナルの、坂本さんが歌ってるやつは入れてない。
大貫妙子ボーカルのも、入れてない。
大貫さんの歌はちょっと苦手なんだけど
「美貌の青空」というフレーズをどう歌ってるのかなぁと
コワいもの聞きたさで聴いてはみた。
坂本さんのピアノで歌うノーブルな感じは歌詞がよく耳に届いたけど。
何回もは聞けない。
この曲には美貌の青空という題名さえあれば
歌詞はいらない。
坂本・大貫のヴァージョンを聴いてて
ピエール・バル―のBoule qui rouleを思い出した。
この曲も大好きで繰り返し聴いてた時あった。
この曲もいろんな人が歌ってるようだけどバル―のが好き。
女声がそっと滑り込んでくるんだけど
この声の主はバルーの日本人の奥さん。
日本語詞だけど違和感なく良いなと思う。
渋谷にバルーの事務所があって
そこで雑貨とカフェをやってると知って
覗いてみたいなと思ってたんだけど
バルーが亡くなってお店も閉じてしまってた。
何年前のことだろう。
あれ、花風でピエール・バルーのこと書いた気がすると思って
過去日記を掘ったらあった。
あら、この曲のピアノ&アレンジは坂本龍一なんだね。
耳の記憶にリンクするはずだね。