クララの美質として語られる
観察と学習への意欲
鋭く物事を見通す目。
病弱な少女ジョジ―の
Artificial Friendとなったクララは
ジョジ―になにが最善かを考え
そのために全力を尽くす。
この物語の語り手はクララで
過多な感情を交えない淡々とした
AFならではの“機械的な”語り口と
ジョジ―や家族への誠実な態度と想いに
「日の名残り」の執事スティーブンスを
重ねて読んだ。
やっぱりカズオ・イシグロの作品には
品格がある。
抑制のきいた語り
心地良い熱量
静謐さ。
読み終わる頃には
何層にも重なった言葉の地層を滴り落ちながら
心が濾過されたような気持になる。