2025年7月29日火曜日

「わたしの叔父さん」

 



  1. クリスの部屋 
    目覚ましが鳴る。

  2. 洗面所
    身支度をするクリス。デオドラントを塗り、長い髪を結う。

  3. 叔父の部屋 
    カーテンを開けるクリス。叔父の着替えを手伝う。
    シャツを着せ、靴下を履かせる。

  4. 食卓
    割って焼いた丸パンにバターとスプレッドを塗って食べる叔父。
    珈琲とミルク。
    本を読みながらシリアルを食べるクリス。
    テレビが朝鮮半島のニュースを伝える。

  5. 牛舎
    牛に干し草を与えるクリス。
    歩行カートに飼料の入ったバケツを積んで運んでくる叔父。

  6. 倉庫
    叔父が梯子に上って建物のネジを締めている。
    トラクターで通りかかるクリス。

  7. 同じ倉庫
    クリスがネジを締めなおしている。
    カートに座ってそれを見る叔父。

  8. キッチン
    手を洗うクリス。
    叔父が入って来たのに気づきソープのパックを彼に見える場所に置き換える。
    ソープで手を洗う叔父。

  9. 食卓
    叔父は丸パン。クリスはシリアル。
    叔父はテレビ、クリスは本。
    難民のニュース。

  10. 居間のソファで昼寝をする叔父。

  11. 牛舎
    トラクターで干し草を運ぶクリス。

  12. 農場
    二人でシーツの両端を持ってシワを伸ばしながら洗濯物を畳んでいる。
    シーツを持つクリスのほうにカートに座る叔父が引っ張られて寄って来る。
    クリスの小さな笑い声。畳んだシーツで叔父の頭をポン。

  13. 自家用車
    運転は叔父、クリスは助手席。

  14. スーパーマーケット
    買い物カートを支えに歩く叔父。食品をカートに入れてゆくクリス。

    叔父「ヌテラを」

    ヌテラをカートに入れるクリス。


ファーストシーンから最初のセリフ「ヌテラを」まで8分?9分?
そのあとも会話と言えるようなものはないまま一日の暮らしが過ぎていく。
風呂を使う叔父の様子をドア越しに気に掛けるクリス。
着替えに手を貸し、食卓で夕飯を取る。
皿にはソーセージが見える。朝昼よりは料理っぽいものだけれど質素で、叔父がテレビ、クリスが本(夜はナンプレ)を開いている様子は変わらない。特に会話はない。
食事の後は居間でふたりでボードゲームをする。スクラブルというのだっけ、駒を並べて単語を作っていくゲーム。
駒を並べて作った単語「かがやき」と言うのが、クリスの初めてのセリフ。

ここまで、何分だろう。寡黙な映画だ。
でも、これが二人の暮らしで二人の間柄なのが良く分かる。
20代の娘とたぶん70歳過ぎの老人とで、会話が弾むはずがないのだから。
だからと言って関係が冷たいわけではない。ふたりがたがいを気遣っているのはよくわかる。若く健康なクリスと、老いて身体が利かなくなっている叔父で、暮らしの大部分をクリスが担っている不均衡も見えるけれど。

このあと、ちいさな変化の兆しが訪れるのだけれど、ヌテラを塗った丸パンとシリアルを食べながら過ぎてゆく日々というものが「生活」なんだと、人の暮らしなんだと思う。
良いでも悪いでもない。そうやって生きて過ぎてゆく。

ドキュメンタリーを観ているのかと思うような、嘘のない映画だなと思う。




寡黙、というのでは生活音の他に音楽もなく一時間進むんだけど、だからふいに流れた「音楽」が印象に残った。たぶん知ってる音楽で余計にハッとしたんだけど。

ちょっとアレンジが違うのかな、自信がなかったので調べたんだけど出てこない。
初めてChatGPTに質問してしまった。
「映画 わたしの叔父さん で使われた曲のタイトル教えて」って(笑)

ところがなんど質問変えて訊いても
「わたしの叔父さんに音楽は使われていません」とか言いよるのじゃ。
ChatGPT使えねぇ。

ググって映画評とかブログとか見ても「一切音楽も流れず…」とかみんな言ってて。
あの曲に言及するひといなくて、逆にびっくり。
ずうっと生活音とぽつりぽつりとした会話だけで進むから、逆にあの曲が記憶に残らないってそんなのある?って思った。
いや、ファンファーレが鳴り響くわけじゃないよ。この映画に似つかわしい密やかな曲なんだけどさ。公開時とアマプラで違うバージョンなのか?な、わけないよね。

自力で、そうよね、これよねと言う曲名探し出したけど。
なんでこんなに謎なのか、不思議。

映画のクレジットにComposerフレミング・ベルグとあって、え?オリジナルなの?   
私の勘違い?(ありうるけど) 謎だわ。



2025年7月14日月曜日

花の骸

 



木槿の花殻。









朝の花、木槿は
次々と咲いて
午後になると萎れてしまう。


薄い花びらを綺麗に巻き戻して
花首を落とす。
あまりに行儀よく花仕舞をするので
美しい骸のよう。

そのままにするのが忍びなくて
毎夕、拾っている。










2025年7月9日水曜日

望月の風

 



探しにいくよ 内なる花を♪





なんじゃぁ、この人懐っこさは。


きらっきら、ふわっふわの
でっかいゴールデンレトリバーが突然やって来た。

悪戯小僧みたいだが聞き分け良くて礼儀正しく
にっこにこしながらじっとこっち見てる。
しっぽがぶんぶん振れてる。
若くしなやかな筋肉に軟かなエネルギーが満ちてるのがわかる。
ボールが投げられる瞬間を待ってる。

いやいや、待て、まて! Stay!





しわしわに萎れた花束 小わきに抱えて♪





おばちゃんには、君は眩しすぎます。
私の6畳間に君の存在はデカすぎる。
日産スタジアムも満杯?
はいはい、ヨーロッパまで翔んで思う存分駆け回ってこ~い。






真っ白な心に惹かれ 真実をさまよえば♪





先週、久しぶり何年振りかで熱を出して
(といっても7度1分の極微熱)
熱はすぐ下がったのに眩暈に襲われて
4日もだらだら寝付いていた。

気分はそんなに悪くなかったんだけど
横になると眠れてしまうので、まあ、なにか不調な感じ。

でその眠ってる間
頭の中で藤井風がず~~~っと歌ってくれてて。
鬱陶しかった(笑)


でっかいレトリバーが枕元に座って
耳元でハッハッハッってやってる感じ。
めっちゃ良い子なんだけど存在感デカすぎ、という。





おっと罪の香り 抜き足差し足忍び足♪






藤井風を聴いている。


なんだろね、この才能は。

声が良い。底に厚みがあって柔らかい。
顔が良い。濃い、でも粗削りな清潔感のある男前。
表情が良い。自然体でチャーミング。たぶん、性格良いんだろうな。
タッパがある。実際の身長以上に空間に映えて大きく見える気がする。
歌詞が良い。言葉の音。岡山弁の威力。
楽曲の良さは、彼の声と、彼の言葉の音と、彼のメロディの融合。


ナチュラルボーンなのよね。
どれもこれも、努力では手に入らないもの。

いまの彼は、欠けたることのない望月のような存在。
世界を明るく照らす満ち満ちた月の輝き。
太陽に例えても良いくらいだけど
太陽よりも優しいかなぁと感じる。

いまの風くんには(あ、ついでに名前が良い)
好きにしてくださいって思う。
呆れてものも言えねーわ、みたいな(賛辞です)





手を放す 軽くなる 満ちてゆく♪





ずっと聴いてはいられる曲ばかりなんだけど
頭の中に満ちてメモリを食われてしまって
ちょっと邪魔だったので
(やっぱりハマるには、私にはちょっと眩しい)
上書きしとこうと思って選んだのは
坂本慎太郎でした。

このひとも十分中毒性あるんだけど
ふいに頭の中に流れてきても私は馴染むことができる。
こういう暗さや毒性は気持ちいい。

満月の裏側の影がゆらゆら